雪姉きあん)” の例文
「うち、そんなことせんかて自分の稼ぎでやって行けたし、貯金もしてたと云うこと、雪姉きあんちゃん知ってるやないの」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
勿論もちろんこのことについては中姉なかあんちゃんや雪姉きあんちゃんに迷惑が懸らないように、単独で、穏便に掛け合うつもりであるから、心配しないで貰いたい、ついては
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
昨日の夕方、雪姉きあんちゃんと元町を歩いて、スズランの店先で西洋菓子を買っていると、雪姉ちゃんがにわかあわて出して、「どうしょう、こいさん、———来たはるねんわ」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
板倉と結婚することだけは思い止まるように説いて見たのであったが、妙子の口吻は、自分達は直ぐにも結婚したいところを、雪姉きあんちゃんのために待って上げているのだから
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
雪姉きあんちゃん、そんなに東京きらいやったら、今度の話も先ず望みない思う方がええねんな」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「云うてみることはみるけれど、雪姉きあんちゃんそない云い出したら、あかんやろ思うわ」
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
最も利害関係の深い私に一言の相談もせずに実行するとは専横過ぎる、———と云うのであったが、妙子は妙子で、兄さんが雪姉きあんちゃんのためにあかしを立てて上げるのは当り前だけれども
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「うちは止めさして貰いまっさ。中姉なかあんちゃんと雪姉きあんちゃんで呼ばれて来なさい」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もっと月々の仕送りを減らして貰ってもよいと思っている、本家も六人の子供達が追い追い成長するし、雪姉きあんちゃんのことも見て上げなければならないし、なかなか経費が懸るであろうから
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)