隣字となりあざ)” の例文
次ぎには平生世話になる耶蘇教やそきょう信者しんじゃの家族を招待した。次ぎには畑仕事で始終厄介やっかいになる隣字となりあざの若者等を案内した。今夜は村の婦人連をまねいた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それは二人が打ち連れて間道を抜けながら隣字となりあざの温泉——といつても一軒の宿屋が一つの湯槽を抱えてゐるにすぎないのであるが——へ浸りに行く途中のこと
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
重田しげたさんが立寄たちよった。重田さんは隣字となりあざの人で、気が少し変なのである。躁暴狂そうぼうきょうでもなく、憂欝狂ゆううつきょうと云う訳でもなく、唯家業の農を抛擲ほうてきしてぶらぶら歩いて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その自動車は隣字となりあざの小さな温泉場に春なかばから秋なかばの半年だけ三四台たむろしている。
禅僧 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
其妻は子供を連れて再縁し、其住んだ家は隣字となりあざの大工が妾の住家となった。私も棺桶をかつぎに往きましたでサ、王子まで、と久さん自身稲次郎の事を問うたある人に語った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)