陽向ひなた)” の例文
いずれ親譲りがある筈だった財産というのも、近頃親の年齢甲斐としがいもない道楽で、陽向ひなたに出した氷のようにズンズン融けてゆくという話である。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
お母さんは自転車を洗い終ると、店先きの陽向ひなたに干して、おじさんに茶を入れて出しました。
(新字新仮名) / 林芙美子(著)
奥いっぱいにひろげられた裁ち板の前で歯入れやの神さんは、大柄で体に或る権威を湛えながら、対手をしている。爺さんが軒下に立って冬の陽向ひなたで腰をのしているときの顔にも微かに油気がついた。
朝の風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
より江もひしゃくを持ったままお母さんのあとへついて、表の陽向ひなたへ出てきました。
(新字新仮名) / 林芙美子(著)
渋谷の終点で降りると、隆山は陽向ひなたに目をしょぼしょぼさせて
泣虫小僧 (新字新仮名) / 林芙美子(著)