阿那あな)” の例文
黄金丸はやや暁得さとりて、「さてはわが亡親なきおや魂魄たま、仮に此処ここに現はれて、わが危急を救ひ給ふか。阿那あな感謝かたじけなし」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
彼方あなたの山をきっにらめつ、「さては今宵彼の洞にて、金眸はじめ配下の獣酒宴さかもりなしてたわぶれゐるとや。時節到来今宵こそ。宿願成就する時なれ。阿那あな喜ばしやうれしや」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
恐ろしきまなこを見張り、「爾は昨日黒衣がために、射殺されたる野良犬ならずや。さては妄執もうしゅう晴れやらで、わが酔臥えいふせしひま著入つけいり、たたりをなさんず心なるか。阿那あな嗚呼おこ白物しれものよ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)