鍵鼻かぎばな)” の例文
鳥のくちばしのように曲った、鍵鼻かぎばなを、二三度大仰にうごめかしながら、眉の間を狭くして、見たのである。
仙人 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その鼻はいわゆる鍵鼻かぎばなで、ひとたびは精一杯高くなって見たが、これではあんまりだと中途から謙遜けんそんして、先の方へ行くと、初めの勢に似ず垂れかかって、下にある唇をのぞき込んでいる。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
まして柑子色こうじいろの帽子や、椎鈍しいにび法衣ころもなぞは、見慣れているだけに、有れども無きが如くである。内供は人を見ずに、ただ、鼻を見た。——しかし鍵鼻かぎばなはあっても、内供のような鼻は一つも見当らない。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)