かぶと)” の例文
法皇の護衞なる瑞西スイス隊は正裝して、その士官はかぶと唐頭からのかしらはさめり。この裝束は今若き貴婦人に會釋せるベルナルドオには殊に好く似合ひたり。
(偽帝の挑戦に応ぜんとして使を発す。ファウスト甲を著、半ば鎖せるかぶとを戴き、三人の有力者上に記せる衣裳を著、武具を取り装ひて登場。)
点呼に応ずる兵卒の正服つけて、黒き毛植ゑたるバワリアかぶといただける、警察吏の馬にり、または徒立かちだちにてせちがひたるなど、雑沓ざっとういはんかたなし。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
かぶとに巻ける絹の色に、槍突き合わす敵の目もむべし。ランスロットはその日の試合に、二十余人の騎士をたおして、引き挙ぐる間際まぎわに始めてわが名をなのる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
黒い筒袖を着ている腕が、罪人の頭の上へ、金属で拵えた、円いかぶとのようなものを持って来て、きちょうめんに、上手に、すばやく、それを頸の隠れるように、すっぽり被せる。
かのフアビアニの君のやうなる、美しき軍服に身をかためて、羽つきたるかぶとを戴き、長き劍をきて、法皇のみ車の傍をりゆかんとやおもふ。
我はほと/\興を失ひて、「トルソオ」をも「アンチノウス」をも打ち棄てゝ、家路に向はんとせしとき、忽ち羽つきたるかぶとを戴き、長靴の拍車を鳴して、輕らかに廊を歩みゆく人あり。