くつわ)” の例文
かのユスティニアーノ汝のためにくつわ調とゝのへしかど、鞍空しくば何の益あらむ、この銜なかりせば恥は却つてすくなかるべし 八八—九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
正直者の御者の樊遅は、駟馬のくつわを執りながら、時々車上の夫子が老顔を窃み視て、傷ましい放浪の師の身の上に涙を流した。
谷崎潤一郎氏の作品 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
くつわは口の両側にある、大きな木片で出来た、妙な装置である。何等かの目的で、馬の外臀部にあてがってある繩には、磨傷をふせぐ為に、木の転子ころがいくつかついている。
それかの生れしにあらざる人は、己が益なる意志のくつわへかねて、己を罪しつゝ、己がすべての子孫を罪せり 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
四方よもの空はや靜かになりぬ、彼我に曰ふ。これは硬きくつわにて己が境界さかひの内に人をとどめおくべきものなり 一四二—一四四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかるに汝等は餌をくらひ、年へし敵の魚釣はりにかゝりてその許に曳かれ、くつわよびも殆んど益なし 一四五—一四七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)