金繍きんしゅう)” の例文
と、よく見ると、みな魏旗であり、一きわ目立つくれないの大旗には、金繍きんしゅうの文字あざやかに、平西へいせい都督驃騎ひょうき将軍司馬懿しばいと読まれた。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金繍きんしゅう職帯しょくたいをしめ大きな立毛のついた礼帽をかぶった枢機員が、法皇の転生をちょっとばかり早める事務の、最後の仕上げの部分を検分するために入ってくる。
新西遊記 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その仏像、仏具及び装飾の金繍きんしゅう等が互いに反映して輝く有様は皓々赫々こうこうかっかくとして目眩まぶしくその立派なることは実にきもを潰すばかりでありました。けれども私は余り感服しなかった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
また、そのほかの庫内からも金繍きんしゅう綾羅りょうら珠翠しゅすい珍宝ちんぽう、山を崩して運ぶ如く、続々と城外へ積み出された。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金繍きんしゅうの帯の間から、御方が抜きとって、さッと開いたのは、赤地へ銀摺りした女持ちの小扇。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はてな? と孟達がふと後ろを見ると、何ぞはからん、翩翻へんぽんとして千軍万馬のうえに押し揉まれている大旗を見れば、「司馬懿しばい」の三文字が金繍きんしゅうぬのに黒々と縫い表わされてあるではないか。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)