金属かね)” の例文
旧字:金屬
私だつて金属かねで出来た機械ぢやなし、さうさう駆使こきつかはれてお為にばかり成つてゐちや、這箇こつちの身が立ちはしない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
下の方は、足をのせる金属かねの台があつて、それには透かし彫りの模様があります。——この立派な腰掛に腰掛けてやつてもらふのです。二人はまた何となく顔を見合はせました。
(新字旧仮名) / 新美南吉(著)
その間にマイダスは、一杯のコーヒーをいでいました。勿論コーヒー注ぎも、彼がそれを取り上げた時はどんな金属かねで出来ていたにせよ、それを下に置いた時にはもう金になっていました。
打てば金属かねのように響くかと思われるほどに緊張しきっていたが、法水のりみずは何か成算のあるらしい面持おももちで、ゆったりと眼をじ黙想にふけりながらも、絶えず微笑をうかべ独算気なうなずきを続けていた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)