金屏きんぺい)” の例文
すばらしい金屏きんぺいや、とこの唐美人図や、違い棚の豪奢ごうしゃをきわめた置物、飾物を眺めたとき、弱まった気持を、ふたたび緊張させることが出来た。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
燈火ともしび金屏きんぺいに栄えている。円窓の障子に薄蒼く、月の光が照っている。馨しい焚物の匂いがして、唐金の獅子型の香炉から、細々と煙が立っている。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
都会の紅塵こうぢんを離れ、隅田の青流にのぞめる橋場の里、数寄すきらせる大洞利八おほほらりはちが別荘の奥二階、春寒き河風を金屏きんぺいさへぎり、銀燭の華光燦爛さんらんたる一室に、火炉をようして端坐せるは
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)