野辺地のへじ)” の例文
低い綿雲が垂れ下がって乙供おつともからは小雨が淋しくふり出した。野辺地のへじの浜に近い灌木の茂った斜面の上空にとんびが群れ飛んでいた。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
「飛行船隊の中から、一隻、アクロン号というのが、陸奥湾むつわんを横断して、唯今、野辺地のへじの上空を通っているのだ」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
東北では発音をケセネまたはキスネとなまっていう者が多く、岩手県北部の諸郡でそれを稗のことだといい、また米以外の穀物に限るようにもいう土地があるのは(野辺地のへじ方言集)
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「烏丸さまのおむすめは、奥州街道を行けば追手がかかる。わたしはここから浜へ出て、陸中の海ぞいを、貝魚を拾いながら上総まで上る、とおっしゃって、陸奥の野辺地のへじというところで別れました」
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それから鹿角かづの郡の宮川村、または南部の野辺地のへじでも盛岡でも、アチャトデタカと啼くという人が多かった。即ち小鍋隠しのおかしな昔話も、基づくところはこの鳥の啼く声であったのである。
野辺地のへじ馬門まかどから狩場沢かりばさわへ、南部領から津軽領へ、入ってきたのが七月六日、それから青森を過ぎ内湾の岩づたいに、三廏みうまやから宇鉄うてつへ出て便船を求め、盆の魂迎えに飢饉で死んだ親姉の名を
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
サシトリ(スカンコ) 野辺地のへじ
陸奥むつ上北郡野辺地のへじ町大字馬門
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
フデノホコ 奥州野辺地のへじ