酒造屋さかや)” の例文
町の中央まんなかの、四隣あたり不相應に嚴しく土塀をめぐらした酒造屋さかやと向ひ合つて、大きな茅葺の家に村役場の表札が出てゐる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
謙蔵はびっくりして立ち止まったが、その眼は視線がさだまらなかった。続いて数人の男女の叫ぶ声がした。それは酒造屋さかやの内からであった。謙蔵はり返って店の中をのぞいた。
指環 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
町の中央なかほどの、四隣あたり不相応にいかめしく土塀をめぐらした酒造屋さかや対合むかひあつて、大きい茅葺のうちに村役場の表札が出てゐる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
今、着いたばかりの謙蔵は、黒い袱衣包ふくさづつみ小脇こわきかかえて××町の方へ曲って来たが、彼は奇怪な指環を酒造屋さかやの前で落そうとして、左の指にさした指環を気にしいしい歩いていた。
指環 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)