邸址やしきあと)” の例文
左側に邸址やしきあとらしい空地があって、そこから小供が出て来るところであった。その空地にはおとなの背ぐらいもあるような大きなかめがたくさん俯向うつむけにしてあるのが見えた。
藍瓶 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
坂路を隔てて仏蘭西人アリベーと呼びしものの邸址やしきあと、今は岩崎家の別墅べっしょとなり、短葉松植ゑつらねし土墻ついじは城塞めきたる石塀となりぬ。岩崎家の東鄰には依然として思案外史しあんがいし石橋いしばし氏のきょあり。
礫川徜徉記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)