追蒐おいか)” の例文
「何だか、それがわかるくらいなら間違やしない、こうしている間にも追蒐おいかけて来るかも知れないから、早く隠して下さいよう」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そして此処迄出て参りますと、此人が追蒐おいかけて来て、私が不都合な事をしたって取調べようとするんですの。私は何もそんな覚えはありませんし、こんな人から調べられる理由はないんですの。
偽刑事 (新字新仮名) / 川田功(著)
しかしながら、年をとっては無精ぶしょうですから、わざわざそれを追蒐おいかけてみようとの好奇心も動かず、やがてハタと戸を締めきってしまいました。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一行の人はその挙動を呆気あっけに取られて見ていたが、別に追蒐おいかける模様もなく、屋敷へ帰ってしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「いかにも怪しげな奴じゃ、関所の裏を通ったものと見ゆる、誰ぞ行って追蒐おいかけてみられよ」
ただ追蒐おいかけるがために追蒐ける人間が、雲のように米友のあとを慕って来るのであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
まあしかし、落着くところは甲府ときまっているんだから、追蒐おいかけるにも、そう急ぐことはないや、あいつらに気取られるとかえってことが面倒になるから、気をつけて案内してくれよ
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
弥次馬というものは変なもので、今、鍋島様やら池田様やらのお通りへ無礼を加えたものがあって、それが逃げ出したと聞くと、まとまって米友をめあてに追蒐おいかけて来るらしいのであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
あまりの懐かしさに兵馬は、あと追蒐おいかけて名乗りかけようかと思いました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
蛇の目の傘は両女を容れたまま、もと来た方へ動き出したから、こうなってみるとがんりきも、それを追蒐おいかけて袂を引くのもみっともないとあきらめたのか、だまって見送っているだけでした。
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)