輦下れんか)” の例文
こう穏やかでない時勢であるから輦下れんか騒擾そうじょうをしずめ叡慮えいりょを安んじ奉らんがためであることはいずれも承知するところであろう。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「たとえ飽浦あくらの佐々木党が、どう討って出て来ようと、まず先帝を、われらの陣に迎え取れば、即座に、山陽山陰のお味方が、ふうをのぞんで輦下れんかせさんじるに相違ない」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
董卓は自分を相国しょうこくに封じ、楊彪ようひょうを司徒とし、黄琬こうえんを太尉に、荀爽じゅんそうを司空に、韓馥かんふく冀州きしゅうの牧に、張資ちょうしを南陽の太守に——といったように、地方官の任命も輦下れんかの朝臣の登用も
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
薩藩と共に輦下れんか警衛の任に当たることにかけては、京都の屋敷にある世子せいし定広がすでにその朝命を拝していた。薩長二藩のこれらの一大飛躍は他藩の注意をひかずには置かない。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)