輜重車しちょうしゃ)” の例文
水ははちにたまったように平原の窪地くぼちにここかしこたまっていた。ある所では輜重車しちょうしゃは車軸まで泥水につかった。馬の腹帯は泥水をしたたらしていた。
貨物列車——トラック——輜重車しちょうしゃ——食糧配給車という順序にリレーされながら一直線にヴェルダンの後方十基米キロの処に在る白樺の林の中に到着した。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「こう毎日毎日、単調な原ッぱを、女気なしに汗臭い輜重車しちょうしゃを引きずり廻して暮すんじゃ、面白うないわい」
シベリヤに近く (新字新仮名) / 里村欣三(著)
輸送力の欠乏から屍体したいはすべて曠野こうやに遺棄するほかはなかったのである。この夜、陣中視察のとき、李陵はたまたまある輜重車しちょうしゃ中に男の服をまとうた女を発見した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
今度発明のものは、それを糧運専用の輜重車しちょうしゃに改造されたものといえる。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輜重車しちょうしゃ、弾薬車、行李車こうりしゃ、負傷兵をいっぱい積んだ車などは、フランス軍がそこに足場を得て森に近よって来るのを見て、先を争って森に逃げ込んだ。