車輛しゃりょう)” の例文
一団の塊まりはばらばらにほごれて点となる。点は右へと左へと動く。しばらくすると、無敵な音を立てて車輛しゃりょうの戸をはたはたと締めて行く。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
農耕、土木、鍛冶かじ、木工、染色、皮革ひかくなめし、車輛しゃりょう作り、牧畜、酪農らくのう機織はたおりなど、その生産は、あらゆる部門にわたっている。だが、ここでの消費物資ではない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
全軍の車輛しゃりょうについて一々調べたところ、同様にしてひそんでいた十数人の女が捜し出された。往年関東の群盗が一時にりくったとき、その妻子等がわれて西辺にうつり住んだ。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
自分は閑静な車輛しゃりょうのなかで、先年英国のエドワード帝をほうぶった時、五千人の卒倒者をいだした事などを思い出したりした。
初秋の一日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)