蹴躓けつま)” の例文
男はすっくとちあがって歩きだした。一度女の体に蹴躓けつまずいたが、やがて手さぐりで電燈を消すと、四辺あたりはたちまち真の闇にとざされた。
暗中の接吻 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
夢中で、彼女が、ふとんを退けたとたんに、男は、ぬっと立って、裏口へ飛び出そうとした。だが、そのはずみに、病人の枕に蹴躓けつまずいたので、気丈な、彼女の父は、自分の病体をも忘れて
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)