買手かいて)” の例文
だから彼女に接する者は、買う客のほうが「買手かいてども」と呼ばれ、才色を売る彼女のほうは「太夫様」と称されていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
悪い買手かいてと同じように
と、武蔵は、扇屋の庭にたたずみながら、彼方あなたの花やかな灯影ほかげを見ていた。けれど奥深い座敷の方には変らない「買手かいてども」の猥歌わいかや三絃が満ちていて、吉野にこっそり会って行くすべもない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)