貪心たんしん)” の例文
さうしてそれを見た弟子でしたちは、先生はい年になつても、まだ貪心たんしんが去らないと見える、浅間あさましい事だと評したさうである。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
貪心たんしんたちまち生じて善法をしゅするを妨ぐる——仏は仏慧菩薩ぶってぼさつのために四食しじきの時を説いて、朝の天食、午時の法食とし、そうして畜生のための午後食、鬼類のための夜食——とこうなっている。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
床を離れるやうになつたら、今度はあの黄金の上に、何をきざんで見ようかなぞと、仕事の工夫くふうをしてゐたのであらう。師匠に貪心たんしんがあると思つたのは、思つた弟子でしの方がいやしさうである。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)