豈夫よも)” の例文
この贅沢の資本がもしスパイの報酬として請取うけとった金なら公々然と同志の前で札びらを切る事は豈夫よも出来なかったろう。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
ながら長八に向ひ紙屑買かみくづかひの道にまよひて二百文出し案内を頼みて來ると云者が江戸えどひろしと雖もあるべきや餘り馬鹿々々敷事しきことなり御前も無筆にては豈夫よもあるまじ町内々々には町名札があれば其の町名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
当年の若い伊井公侯なら恐らくこれを危険視する事は豈夫よもあるまい。伊井公侯の欧化策は文明の皮殻の模倣であったが、人心を新たにし元気を横溢せしめて新らしい文明のエポックを作った。
これなら豈夫よも知っていまいとひそかに予期して質問した西鶴さいかくについてすらも初対面の私を煙に巻くだけの批評をしたが、紅葉はこの頃やっと『一代男』を読んだばかしで何が何やらサッパリ解らない
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)