變哲へんてつ)” の例文
新字:変哲
何んの變哲へんてつもない事件なのですが、その底に妙に煮え切らないものがあつて、平次をすつかり手古摺てこずらせてしまつたのです。
次に取上げた手拭は、何の變哲へんてつもない中古ちうぶるの品で、よく乾いてしまつて、泥も砂もついては居りません。
一寸見たところでは、何んの變哲へんてつもない、『寢取り』の變奏曲ヴアリエーシヨンですが、心靜かに吹き進むと、その旋律せんりつに不思議な不氣味さがあつて、ぞつとそびらに水を流すやうな心持。
「稽古矢で射られて死んだと言へば、何の變哲へんてつもないが、——坊主矢で射られた位ぢや人間はなか/\死ぬものぢやねえ。兄哥さへよかつたら、ちよいと覗かして貰はうか」
「あの娘をつけて見ましたが、御隱殿裏へ眞つ直ぐに歸るだけで、何んの變哲へんてつもありませんよ。江戸の眞ん中ぢや、眞晝の天道樣に照らされて、どんな送りおほかみだつて、わざは出來ません」
此邊は何んの變哲へんてつもありませんが、三階だけが支那の軍談物の揷繪にあるやうな、怪し氣な樓閣ろうかくになつて居り、四方見開きの手摺で、眞ん中に渾天儀を据ゑ、櫓時計や遠眼鏡などをあしらつて
話を聽いて見ると何の變哲へんてつもありません。
變哲へんてつな法服と、髯面がまぎれもありません。
さう聞けば何の變哲へんてつもありません。