うなず)” の例文
けれども私が今これを拒むのは何となく嫉妬のように見えてそれは卑怯だという声が心の底で私を責める、私は黙ってうなずいた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
彼が甚だ良識ある人物であることはうなずけるのだが、世上の他の良識ある人間は、このような時、新聞にスキャンダルを公表し一門の名誉を損じても
わたしは、はたとつまりながら「さあ」と言っただけでいると、わたくしに関わず文吉はひとりうなずき顔で言いました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「お互いに胸の奥でうなずき合うものが一つあれば、あとは大概は商売のためと思って見逃がし合う。芸人の夫婦はそれでいゝのだ。おまえも、ちと渋くなりなさい」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「どうかちょっとお話し致したいことがございますから」というと紳士は黙ってうなずいた。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
そうしたことには山の祖神として自分にわけも気持もあってしたことの解き開きを娘の神にとくとうなずかして、根に持つ恨みを雪解の水に溶き流さすまではかの女の傍からは離れられない。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
女はうなずいた。水を深く湛えた広い河が、森をめぐって流れていた。一たん盛り上った火の子が、みな素直に河へ落ちて行った。風がすこしもないからであった。女はだんだん落着いて行った。
(新字新仮名) / 岡本かの子(著)
なおも、よく聴いてみると、私たち素人にもなるほどとうなずかれます。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
男乞食は聞えたものか、こくり/\と首でうなずきました。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
弟はうなずいたが声はあっさりしていた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)