説服せっぷく)” の例文
そこで、彼は警察を説服せっぷくして、岩出銀行の社長の家族や傭人やといにん全部の手形を紙に捺させ、これと血の手形とを比べて見ることになる。
探偵小説の「謎」 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
わけて、兄は、内田家に恩義があり、俺に、相談する前に、弟に異論のあるはずはない。あったにせよ、兄が説服せっぷくして——とまで、ひきうけてしまっているじゃないか。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
臼井は、勇敢なる説を立てて、目賀野を説服せっぷくにかかった。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
不安がる心に対して、彼のもう一つの心が説服せっぷくを始めるのです。どこに不安があるのだ。どこに手抜かりがあるのだ。これまで計画した仕事を、今更ら断念出来るものか。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)