親佐おやさ)” の例文
若さから置いて行かれる……そうしたさびしみが嫉妬しっとにかわってひしひしと葉子を襲って来た。葉子はふと母の親佐おやさを思った。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
わたしはくなった親佐おやささんのお考えはこうもあろうかと思った所を申したまでですから、それを葉子さんが悪いとおっしゃるなら、その上とやかく言いともないのですが
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
葉子の母の親佐おやさが何かの用でその良人おっとの書斎に行こうと階子段はしごだんをのぼりかけると、上から小間使いがまっしぐらに駆けおりて来て、危うく親佐にぶっ突かろうとしてそのそばをすりぬけながら
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
新聞社の社長と親佐おやさと葉子との間に起こった事として不倫な捏造ねつぞう記事(葉子はその記事のうち、母に関してはどのへんまでが捏造ねつぞうであるか知らなかった。少なくとも葉子に関しては捏造ねつぞうだった)
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
葉子の父は日本橋ではひとかどの門戸もんこを張った医師で、収入も相当にはあったけれども、理財の道に全く暗いのと、妻の親佐おやさが婦人同盟の事業にばかり奔走していて、その並み並みならぬ才能を
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)