親々おやおや)” の例文
初め助太郎とかなとは、まだかなが藍原右衛門うえもんむすめであった時、穴隙けつげきって相見あいまみえたために、二人は親々おやおやの勘当を受けて、裏店うらだなの世帯を持った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
自暴やけを起し、或夜ひそか有金ありがね偸出ぬすみだして東京へ出奔すると、続いて二人程其真似をする者が出たので、同じ様な息子を持った諸方の親々おやおやの大恐慌となった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
俺は、それお特得はこの、「親々おやおやいざなはれ、難波なにわうら船出ふなでして、身を尽したる、憂きおもひ、泣いてチチチチあかしのチントン風待かぜまちにテチンチンツン……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
親々おやおやはこの恋を許さざりき、そのゆえはと問わば言葉のかずかずもて許し難き理由いわれを説かんも、ただ相恋うるが故にこの恋は許さじとあからさまに言うの直截ちょくせつなるにしかず。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)