覚明かくみょう)” の例文
罵倒ばとうして気を吐いた快男児覚明かくみょうも、そうして、次の日からは、半僧半俗のすがたをすてて、誕生一歳の仏徒となり、性善坊に対しても
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七月九日の暮方、白山三社八院から成る二千余の僧兵は、智釈ちしゃく覚明かくみょう宝台坊ほうだいぼう正智しょうち、学音といった、全寺きっての老僧を先頭に、師経のやかた目指して押し寄せてきたのである。
あの覚明かくみょう行者や普寛ふかん行者なぞが登ったころには、どんなだったろうね。わたしはあの行者たちが最初の登山をした人たちかとばかり思っていた。ここの禰宜さまの話で見ると、そうじゃないんだね。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「元よりこのような野宿者に負けてよいものか。御先祖の血をふるい起せ。木曾殿きそどの御内みうちにも人ありと知られた太夫房覚明かくみょうの血はどこへやったぞ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところへまた、太夫房覚明かくみょうもみえ、そのほか、十名ほどの近親の人々が、それだけと、人数を制限された上で、この草庵へ別離を惜しみに集まってきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わんッ! その時、こうしのような一匹の熊野犬が、いきなり、くるまの前に躍ってむちをあげた覚明かくみょうの脚へ噛みついた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「奥方。佐殿すけどのの奥方。走り湯権現の覚明かくみょうでござる。それへはいりかねまするで、垣近くまでお顔をおかし下さい。——戦場の模様、その後の人々のご消息、いろいろ、探り聞いて参りました」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠くは、木曾殿の幕下、太夫房覚明かくみょうと申し、その人を家祖といい伝えております。なれども、覚明は木曾殿の滅亡後、出家して、法然ほうねん上人のしつに参じておりますゆえ、その一族やも知れませぬ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なに、覚明かくみょうが帰ったとか」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)