西門せいもん)” の例文
県城通りのえんじゅ並木に、ひときわ目立つ生薬きぐすり問屋がある。陽穀ようこく県きっての丸持まるもちだともいう古舗しにせだ。男はその薬屋の主人で名はけい苗字みょうじは二字姓の西門せいもんという珍らしい姓だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
住職はそれからおんなと喬生を西門せいもんの方へほうむったが、そののち雨曇あまぐもりの日とか月の暗い晩とかには、牡丹燈をけた少女をれた喬生と麗卿の姿が見えて、それを見た者は重い病気になった。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)