裏田圃うらたんぼ)” の例文
あの瓢箪池ひょうたんいけから裏田圃うらたんぼまで軒をならべている安芝居や見世物などは、今のお蝶には、あまり魅力のないものでした。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに先生御案内でも御座いましょうが、お座敷から向う一面に裏田圃うらたんぼを見晴す景色はまた格別で御座いますよ。丁度今頃は田圃にはすの花が咲いておりましょう。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
穴からあわを吹くやうな声が、かえつて、裏田圃うらたんぼへ抜けて変に響いた。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
観音堂から田町の裏田圃うらたんぼ——向うを見ると吉原の一廓が宵の空に薄黒く浮いていた。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)