袖裏そでうら)” の例文
その月光をジッとかして息を休めていたお蝶は、まだ源六が死に切っていないのを見て、ふたたび懐剣を袖裏そでうらに持ち直しました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここらは甲斐絹裏かいきうらを正札附、ずらりと並べて、正面左右の棚には袖裏そでうらほっそり赤く見えるのから、浅葱あさぎ附紐つけひもの着いたのまで、ぎっしりと積上げて、小さな円髷まげに結った、顔の四角な、肩のふとった
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
見とがめられるおそれがあるので、逢引あいびきの男女が、たたずむように見せかけて、やり過ごそうとしたのですが、とたんに、抱きよせた娘の袖裏そでうらから、月形の短刀がのびるよと見るまに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)