表題みだし)” の例文
私はある朝新聞で『夫婦殺し犯人処刑』と云う三号表題みだしの記事に依って、愈々坂下鶴吉が此の世界から駆逐されたことを知りました。
ある抗議書 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一度目を通すと何んだか内容は表題みだしよりも心を惹かないやうに思へた。『ラシラス』は私のくだらない趣味には退屈のやうに思へた。小妖精フエアリイや魔神のことは何んにも見當らなかつた。
明治四十年十月十日の東京新聞は、いずれを見てもまず読者の目を惹いたのは、一号活字で「恋の競争飛行船の月界探検」と表題みだしをだし、本文にも二号沢山の次のごとき、空前の記事であった。
月世界競争探検 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
つけて置かう、斯う屡々話柄にのぼる度にいちいち厄介な表題みだし
鶴がゐた家 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
翌日の新聞を見ますと、『東京駅頭の喜劇』などと云う二段ヌキの表題みだしで、昨夜の光景を面白く書き立ててありました。
たちあな姫 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
私は、何心なく社会部面に目をやりますと、ふと其処に『エカテリンブルグの惨劇』と云う、二段抜きの表題みだしが目に付きました。そして脇表題わきみだしは『露廃帝一家の悲惨なる最後』と、付いて居ました。
たちあな姫 (新字新仮名) / 菊池寛(著)