表隠袋おもてかくし)” の例文
彼は左胸部にある表隠袋おもてかくしへ再び右の手を突き込んだ。しかしそこから彼のつまみ出したものはしわだらけになった薄汚ない手帛ハンケチだけであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
手を引くときに、自分でカフスの奥を腕までのぞいて見る。やがて背広せびろ表隠袋おもてかくしから、真白な手巾ハンケチつまみ出して丁寧に指頭ゆびさきの油を拭き取った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)