街巷ちまた)” の例文
白髪にいられて、思い切りよくおいの敷居をまたいでしまおうか、白髪を隠して、なお若い街巷ちまた徘徊はいかいしようか、——そこまでは鏡を見た瞬間には考えなかった。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
故郷をとびだして以来は街巷ちまたから街巷を流浪して歩き、口には云えないような世渡りもした。まるで水の上に落ちた枯葉と同じで、ただ流れのまにまに生きて来たのである。
柘榴 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)