衆寡しゅうか)” の例文
『ははははは、衆寡しゅうかてきせずかな。十郎左どのの容姿では、その沙汰も信ぜられる。いいではありませぬか、いっそ、御披露しておしまいなされ』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此の時吉川勢殆んど危かったのを、熊谷伊豆守信直等馳合はせあわせて、其の急を救ったので、弘中衆寡しゅうか敵せず、滝小路の民家に火を放って、弥山道みせんどう大聖院たいしょういんに引あげた。
厳島合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
抜群の関取は必死に争うけれども、衆寡しゅうか敵せず、大勢の力士連に引きずられて、ついに鳥居傍まで、地面をズルズル引きずられて行く光景は、物凄ものすごいものでした。
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「すると助手は『何分衆寡しゅうかてきせずで不覚を取りました』と言うから僕は一策を授けてやった。星野君、君は一人で大勢を相手にする場合の秘訣を知っているかい?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
何分にも衆寡しゅうか敵せずというわけで、四、五日の後には落城して、喜平次秋忠は敵に生捕いけどられて殺されたともいい、姿をかえて本国の土佐へ落ちて行ったともいうが、いずれにしても
こま犬 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
が、二人は、衆寡しゅうかてきせず、たちまち甲板上で、荒くれ水夫たちに組敷かれてしまった。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
しかし衆寡しゅうか敵せず、孫策以下の十三騎も、次第に攻めたてられて、狭い谷間まで追いつめられたが、たちまち、神亭廟しんていびょうのあたりからときの声が起って、一隊の精兵が
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)