蠢爾しゅんじ)” の例文
それから随分危険ながら蛇が著しく人を助くる今一件は、その毒をやじりに塗りて蠢爾しゅんじたる最も下劣な蛮人が、猛獣巨禽を射殺して活命する事だ。
蠢爾しゅんじとしてこゝに耕す人と其住家すみかとをんでかゝって威嚇いかくして居る様で、余は此展望台に立つのが恥かしくなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これあるは独り人間であるが、この人間もその蠢爾しゅんじたる原始生活を営む時代には、あたかも野獣の如く雑婚をほしいままにしていたので、生るる小供に母は有るけれども父はない。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
実に不可思議千万ふかしぎせんばんなる事相じそうにして、当時或る外人の評に、およそ生あるものはその死になんなんとして抵抗を試みざるはなし、蠢爾しゅんじたる昆虫こんちゅうが百貫目の鉄槌てっついたるるときにても
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)