蠢動うごめ)” の例文
結ひめぐらしたる生垣の穴より、入らんとすれば生憎あやにくに、枳殻からたちの針腹を指すを、かろうじてくぐりつ。声を知るべに忍びよれば。太きえんじゅくくり付けられて、蠢動うごめきゐるは正しくそれなり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
なれどもその頃はまだ小さく取らず、胸に在ッても邪魔に成らぬ而已のみか、そのムズムズと蠢動うごめく時は世界中が一所ひとところに集る如く、又この世から極楽浄土へ往生する如く、又春の日に瓊葩綉葉けいはしゅうようの間
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
お銀もとこのうえに起きあがって、蠢動うごめく産児を見てにっこりしていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
うようよ蠢動うごめいてゐる人人