蟆子ぶよ)” の例文
蟆子ぶよ蜉蝣かげろうや蜂が飛んでいたが、それらの昆虫の翅や脚などをも輝かせて、いかにも楽しく躍動している「春の魂」のように見せた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そのうちにようやく、隙間もなく何か書き埋めた一枚の紙が取り出された。それには百姓たちの名前が、まるで蟆子ぶよでもたかったようにぎっしり書きこんであった。いろんな名前がある。
若葉陰しみみにまとふ蟆子ぶよの羽の眼にかゆきからわれは掻くなり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「ほんとうに、あなた、蟆子ぶよのたかりましたほどのあともございませんから、御安心遊ばせ。絞りかえて差上げましょう。——さようでございますか、フとしたお心持に、何か触ったのでございましょう。御気分は……」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、その花房にたかっていたらしい、無数の蟆子ぶよのような小さい羽虫が、花粉かのように舞い立ったが、日光の中に吸い込まれてしまった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
若葉陰しみみにまとふ蟆子ぶよの羽の眼にかゆきからわれは掻くなり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
仔の馬の露けきまみに飛ぶ蟆子ぶよのまつはりしげし夕づきにけり
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
秋ふけぬ物の葉ずゑに立つ蟆子ぶよのかそけき光ただに思はむ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
秋ふけぬ物の葉ずゑに立つ蟆子ぶよのかそけき光ただに思はむ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
稗草の穗向ほむきにちらふ蟆子ぶよのかげ驚きて思ふうらさびにけり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
稗草の穂向ほむきにちらふ蟆子ぶよのかげ驚きて思ふうらさびにけり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うつつは散らふ蟆子ぶよや。
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)