薪割まきわ)” の例文
そして足許あしもとには薪割まきわり用の台があって、その上に欠け皿がひとつおいてある、——どうするかと、ひとみをこらして見まもる刹那せつな
半化け又平 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ほ、ほ、ほ、まだお気づきになりませぬか、あれ、あの裏庭の方から聞える斧の音………あれは夫が薪割まきわりをいたして居る音で御座います」
荘子 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
したがって、近習の細川頼春と一色右馬介も、庫裡くりの裏で、ぜひなく薪割まきわりや水汲みまでをやっていた。彼らだけが日々ただ武者張って無為むいにもいられないのであろう。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は薪割まきわり用のなたをふるって、半七に撃ってかかった。半七は油断なく身をかわして、その利き腕を引っとらえ、まずその得物えものを奪い取ろうとすると、年の割に力の強い彼は必死に争った。
半七捕物帳:66 地蔵は踊る (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
水汲みずくみ、薪割まきわり、絵本の朗読、子供の馬、積木の相手、アンヨは上手、つつましきながらも家庭は常に春の如く、かなり広い庭は、ことごとく打ちたがやされて畑になってはいるが、この主人
家庭の幸福 (新字新仮名) / 太宰治(著)