薄黝うすぐろ)” の例文
肩を張り翼をふくらませたその姿勢に、戦いの意志が単なる形としてだけ残っているようであった。血のかさぶたの下に、瞼は薄黝うすぐろく閉じられていた。
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
そして、黒住の住む西荻窪の駅に、はき出された時は、もう空のあかね薄黝うすぐろせた頃だった。
蝕眠譜 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
網扉のむこうで薄黝うすぐろく影が動くのが見えたが、すぐ行く、と彼は返事をしたまま再びまぶたをふかぶかと閉じていた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
そして、幾度か電車を乗換えて、やっと萩窪へついたのはもう空が薄黝うすぐろせた頃だった。
魔像 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)