蕎麦饅頭そばまんじゅう)” の例文
滅茶滅茶に足で蹈み潰した蕎麦饅頭そばまんじゅうだの、鼻汁で練り固めた豆妙りだのを、さも穢ならしそうに皿の上へうずたかく盛って私達の前へ列べ
少年 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
お雪が入って来ると、後家さんは炬燵の一方へ座蒲団ざぶとんを出して、ついでに茶棚の上の蕎麦饅頭そばまんじゅうのお盆を炬燵の上へ置きました。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
誠太郎は、代助の坐る大きな椅子いすに腰を掛けて、洋卓テーブルの前で、アラスカ探険記を読んでいた。洋卓の上には、蕎麦饅頭そばまんじゅうと茶盆が一所に乗っていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
外へ出ると、ふてくされた日が一面にしもどけの土を照らしている。その日の中を向こうへつっきって、休所へはいったら、誰かが蕎麦饅頭そばまんじゅうを食えと言ってくれた。
葬儀記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お雪は、欣々いそいそとして、炬燵こたつ蒲団ふとんをかきあげたり、座蒲団をすすめたりしていると、北原は持参の蕎麦饅頭そばまんじゅうと、塩せんべいをお雪の前へ出し
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「まあ、おすわりなさい、少しぐらいいいでしょう、ほんとに暫くでしたから、まあお話ししていらっしゃい、お茶をいれて、蕎麦饅頭そばまんじゅうを御馳走します」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)