蓮生坊れんしょうぼう)” の例文
京都の黒谷くろだに参詣人さんけいにん蓮生坊れんしょうぼう太刀たちいただくようなかたで、苦沙弥先生しばらく持っていたが「なるほど」と云ったまま老人に返却した。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
香以は鶴寿と謀って追善の摺物すりものを配った。画は蓮生坊れんしょうぼうに扮した肖像で、豊国がかいた。香以の追悼の句の中に「かへりみる春の姿や海老えびから
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
後々の語り草にもなったように、熊谷はその場でもとどりを切って逐電ちくてんし、法然ほうねん上人の許で、名も蓮生坊れんしょうぼうとかえ、生涯、弓矢を捨ててしまったのだ。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ひと思いにこうしてしまった、洋式の蓮生坊れんしょうぼうかな」
「……はからずも、蓮生坊れんしょうぼうのこころがわかった」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「へんてこな蓮生坊れんしょうぼうが二人出来上った」
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)