葉簇はむら)” の例文
月光の中に輝き震えている水は、ひとつの小さな島で分れ、その島の上には、一まとめにされたように樹や灌木かんぼく葉簇はむらが盛り上がっていた。
審判 (新字新仮名) / フランツ・カフカ(著)
巨きな杉の根方に、下草のまばらに繁った土の上に、またひこばえの葉簇はむらの蔭に、此処にひとり、かしこに二人とたおれていた。
荒法師 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
一粒の大麻実おおあさのみ葉簇はむらの中で、日光のるのと一緒に出来るだけ楽しくいつもふざけたり歌つたりしてゐて、人の注意から免れてゐるこれらの鳥は、大食の鵞鳥と同じ程
その食慾は、穏やかな木の葉簇はむら俄雨にわかあめが降りそゝぐやうな音が彼等の顎から起る位に荒い。その室には実に無数の虫を容れてあるのだ。幼虫は四週間から五週間の間育つて行く。
いまはまだ葉簇はむらのあいだに、つやつやとした堅そうな光をみえかくれさせている。
日本婦道記:箭竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)