華陰かいん)” の例文
しかれども水神ありて華陰かいんの夜に現われ、たまを使者に托して、今年祖龍そりゅう死せんとえば、はたして始皇やがて沙丘しゃきゅうに崩ぜり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
華陰かいんの令をしている者があって、それが上官にびようと思って一ぴきの促織を献上した。そこで、試みに闘わしてみると面白いので、いつも催促して献上さした。
促織 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
帝の御車は、華陰かいん寧輯ねいしゅうという部落にある楊奉の陣所へ行って、営中にお泊りになった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
華陰かいんへきた時、先発の奴僕げなんどもは豚を殺し羊をあぶって、主人の張の着くのを待っていた。黄いろな服を着た男がどこからきたともなしに入ってきて、御馳走のかまえをしてある処へ坐った。
賭博の負債 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
後、緯が二十五になって、進士に挙げられ、行人の官になって、命を奉じて西岳華山の神を祭りに往ったが、華陰かいんにかかると、輿こしに乗って羽傘はねがさをさしかけて往く一行が鹵簿ろぼに衝っかかってきた。
陸判 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)