菖蒲河岸あやめがし)” の例文
それでも尚、彼は不安であったとみえ、そこから近い菖蒲河岸あやめがし団子屋だんごやの二階を借りて、たいがいは其処へ来ていた。
魚紋 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつの頃か、お千代という眉目みめのすぐれた売笑婦が、浜町の菖蒲河岸あやめがしに舟をつないで、嫖客ひょうきゃくを招くに水上から
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちょうどその前後に、菖蒲河岸あやめがしから浜町附近の露地を流して来た二人連れの虚無僧こむそうがある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浜町はまちょう菖蒲河岸あやめがしの御船御殿というのは、将軍家ふねなりの節に、御台所みだいどころづき大奥の女中たちが、よそながら陪観ばいかんするお数寄屋であったが、いつからか、そこにあでやかな一人の貴婦人が棲むようになり
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)