ばく)” の例文
あわてて引っ返してゆく大将曹仁のまえに、さながら火焔のような尾を振り流した赤毛の駿馬しゅんめが、ばくと、砂塵を蹴って横ぎった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「瀧山誠之進は、それをピタリと斷つた、そんな事で、ばく大な身上をわけて貰ふのも心苦しいし、お孃さんの氣もわからないのに、聟などは以ての外とね」
「わたくしは姓をばくと申しまして、父はむかし仕官の身でござりました。昨夜劫盗ごうとうに逢いましたが、そのうちの二人は僧で、わたくしを拐引かどわかしてここへ運んで参ったのでござります」