荷担にない)” の例文
旧字:荷擔
すると、その中へ、ほうり出すように、荷担にないの水桶をおいて、肩の天秤てんびんをはずすやいな、両手をひろげて、一同をさえぎった者がある。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それのみならまだしも、玄関式台の拭き掃除、訪客の取次、荷担にないで水汲む類のわざまで、仲間たちと一緒にやるのが門僕の掟であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう荷担にないの水桶が体にこたえるようになっては、駄目だと云って、二三年まえに、尾崎村の息子の家へ帰ってしまった老僕である。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武大はそれを見るなり、荷担にないを道ばたに捨てて、裏口から王婆の家へ入ろうとしたが、そこでは婆と鄆哥が泥ンこにつるみ合って格闘している。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
冬の朝など——まだ霜の白い地をふんで炊事場すいじばから三町もある法輪寺川へ、荷担にないに水桶をって水を汲みにゆく範宴のすがたが、よく河原に見えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、兄の武大郎ぶたろうは、彼をつれて元の位置に返り、商売物の揚げ饅頭まんじゅう荷担にないをうしろに、公園の池へ向って坐りこんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて、おちつけば、武大は毎日、荷担にないをかついで例の饅頭まんじゅう売りに出かけ、武松もきちんきちんと県役署へ出勤して行く。……だがしがない饅頭売りのほうはどうしても朝は早いし帰りはおそい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)