荒夷あらえびす)” の例文
吉田兼好の、あはれ知らぬ荒夷あらえびすの為に書いたと言ふ艶書一件は、自作ならぬ歌が入つて居た処で、うそ話と言つて了へない隠者らしい為事なのだ。
「彼の島の者ども、因果の理をも弁えぬ荒夷あらえびすなれば、荒く当りたりし事は申す計りなし」
荒夷あらえびすのような彼も松殿の意見に従い、押しこめた人々をみな許したのであった。これと同時に松殿の子息師家がこの時まだ中納言中将でいたのを、義仲のはからいで大臣摂政に推挙した。
或る荒夷あらえびすの恐ろしげなるが、かたへに逢ひて、御子おはすやと問ひしに、一人も持ち侍らずと答へしかば、さては物のあはれは知り給はじ。情なき御心にぞ物し給ふらんと、いとおそろし。
武士を夷ということの考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)