茶話ちゃばなし)” の例文
しかし、それを思い出させてくれたのは、大円の茶話ちゃばなしのおかげだったので、あとで二人だけになると、宋江からすぐ言った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その茶話ちゃばなしのあいだに、わたしは彼の昔語りをいろいろ聴いた。一冊の手帳は殆ど彼の探偵物語でうずめられてしまった。
半七捕物帳:01 お文の魂 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私は茶話ちゃばなしでもしている調子で、なるべく相手の心を痛めない様に問いかけました。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
こう言う兄を前にして、二人ぎりで差向いに坐って見ると、岸本の胸には節子のことが騒がしくったり来たりした。とても彼にはこの仮の書斎で兄と共に茶話ちゃばなしを楽しむほどの心には成れなかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
『ところが、又一つ、茶話ちゃばなしがある。八十右衛門のおどしがききすぎた為、よほど狼狽ろうばいしたとみえ、乳呑ちのの孫を、乳母の手にあずけたまま、便船の外へ、忘れて行き居った』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここらに見馴れない彼女のなまめいたあですがたはいつか人の眼について、十吉の家にはこのごろ妙な泊まり客がいるようだと、村の若い衆たちの茶話ちゃばなしにものぼっていることを、お米からそっと知らされて
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)