茶壺ちゃこ)” の例文
ここのところの謹慎中も、彼は蓄えの茶壺ちゃこなど解いて、茶を賞したり、花をけたり、書を読みこうくなど、酒以外にも、何か独り楽しんでいた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さる公卿の倉から、封印された十数コの茶壺ちゃこが、盗賊の手か何かで市販に出されたのを聞くと、彼はそっくり買いとって、それを自家の秘蔵にした。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどいま、道誉が彼をみちびいた離れは、田舎びた無仏の一堂で、一幅の壁画と、棚には錫の茶壺ちゃこ天目形てんもくなりの碗などがみえ、庭園の休み所らしいおもむきはあるが、闘茶の茶寄合の俗風はどこにもない。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)