茲処ここ)” の例文
私は今一々いちいち人間という者は真似をするものであるということの沢山な例を記憶しておりませんが、茲処ここに二つ三つあります。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
種々いろいろな事を云ッて……なんぼ何だッてあんまり人を軽蔑けいべつした……云う事が有るなら、茲処ここでいうがいい、慈母さんの前で云えるなら、云ッてみるがいい……
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
禽獣きんじゅうの代表者じゃない、人間の代表者に違いない。従って私が茲処ここにこう立っていると、私はこれでヒューマン・レースをレプレゼントして立っているのである。
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
団子坂へ行く者かえる者が茲処ここで落合うので、処々に人影ひとかげが見える、若い女の笑い動揺どよめく声も聞える。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
いやだネー御亭主さんなんぞッて。そんなら入れて茲処ここへ持ッて来ましょうか」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
先輩が今まで踏んで来た径路を自分も一通りらなければ茲処ここに達せられないような気がする如く、日本が西洋の前に出ると茲処に達するにはあれだけの径路を真似て来なければならない
模倣と独立 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)